研究課題
固形がんに対する治療の中心的役割を担っている放射線療法は副作用も生じることから、腫瘍の放射線感受性の増強や治療に先立ち放射線感受性を予測する試みが近年行われている。申請者のグループはこれまでにDNA損傷型抗がん剤によって誘発されるG2期チェックポイント機構の阻害剤を天然物から見いだしてきた。また、申請者のグループは食道がんが発現する放射線感受性マーカーを探索した結果、Regenerating gene1(REG1)発現の上昇がX線に対する感受性を増強させることを見いだした。本研究では、G2期チェックポイント阻害剤が選択的に固形がんの放射線感受性を増強し、死滅させること、さらには放射線感受性マーカーREG1を高発現した固形がんに対する放射線治療効率の飛躍的な増強の可能性を調べることを目的としている。平成23年度は、食道がん細胞株TE5細胞に対するX線誘発G2期チェックポイント機構を阻害し、X線照射による増殖抑制に対する増強活性を示したUCN-01の作用機序の解析を行なった。X線照射によってG2期に停止したTE5細胞株内で増加したcyclinB1はUCN-01との併用により減少し、また細胞内で減少したcyclinD1、D3及びcyclinEはUCN-01との併用によって増加することがわかった。UCN-01はChk1キナーゼの阻害剤として知られるが、TE5細胞株に対するX線との併用処理によってChk1のタンパク質レベルの減少を導くことが新たにわかった。また、新規G2期チェックポイント阻害剤の探索を目的とした微生物抽出液ライブラリーを用いたスクリーニングの結果、これまでに放線菌AUMROO41株の培養抽出液中に活性成分を見出した。
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