研究概要 |
本年度は抗EGFアプタマーのEGFへ結合によるEGFRリン酸化阻害の検討、抗EGFアプタマーによる癌細胞株の増殖抑制効果の検討を研究目標とし、以下のとおり実施した。 1,ビオチンタグ化EGF蛋白質の作製。 大腸菌でピオチンタグ化EGF蛋白質を発現させた。これを精製しピオチンタグ化EGF蛋白質を取得した。 2,SELEX法 N50のランダム配列をもつ台成オリゴヌクレオチドをPCRにて増幅。この増幅RNAをEGF蛋白と結合させる。EGFに結合したRNAのみを回収。Reverse transcriptionにて1st strand DNAを合成し、2nd strand DNAを合成する。これを次の選別に使用する。この淘汰、選別、増幅の操作を15round繰り返すことによって、EGFに特異的に結合するRNA(抗EGFアプタマー)を取得した。 今後、以下の方法によって、アプタマーの選別、EGFRリン酸化阻害の検討を行い、癌細胞株を用いた抗EGFアプタマーによる増殖抑制効果の検討を予定している。 3,アプタマーの選別 (1)SELEX法にて得られたRNAのシークエンスを行い、共通配列の検索を行う。 (2)ゲルシフトアッセイにて、抗EGFアプタマーとEGFとの結合を確認する。 (3)リン酸化チロシンEGFR抗体を用いたウエスタンブロット法にて、アプタマーを加えたときのEGFRのリン酸化を定量。抗EGFアプタマーとEGFの結合によるEGFRのリン酸化阻害(シグナル伝達の阻害)を確認する。 (4)ゲルシフトアッセイにてEGFと親和性が高く、EGFR-リン酸化を最も阻害する抗EGFアプタマーを選別する。 4,抗EGFアプタマーによる癌細胞株増殖抑制効果の検討。 食道癌、胃癌、肺癌、乳癌細胞株に、抗EGFアプタマーを加え48時間接触させる。MTTアッセイにて増殖抑制効果を評価する。 EGFに結合することにより、そのシグナル伝達を阻害するRNAアプタマーを取得する。新たな分子標的薬創製につなげていきたい。
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