今回我々は、アデノウイルスのファイバー先端部のHIループに様々なリガンド配列のペプチドを組み込んで遺伝子工学的に改変したアアデノウイルスベクター2x10^5種類以上をアデノウイルスライブラリーとして作成し、グリオーマ腫瘍幹細胞をスクリーニングすることで悪性グリオーマ腫瘍幹細胞標的アデノウィルスを探索し、グリオーマ腫瘍幹細胞を直接殺傷することで治療困難なグリオーマ治療を発展させる目的で実験をしている。 最初の行程である、悪性グリオーマセルラインから浮遊系の細胞塊(sphere)を形成する腫瘍幹細胞と接着系の細胞(幹細胞以外の腫瘍細胞)をそれぞれ分離して腫瘍幹細胞であることを確認する作業を施行した。いろいろの組み合わせでbasic fibroblast growth factorやepidermal growth factorなどを加えて培養を繰り返すことにより、D54グリオーマ細胞にて腫瘍幹細胞と考えられるものを樹立した。蛍光免疫染色にてCD133、DAPI陽性であった。 今後、がんセンター研究所がん宿主免疫研究室から譲り受けたアデノウィルスライブラリーを使って樹立したD54グリオーマ腫瘍幹細胞とD54グリオーマ細胞自体でのスクリーニングを施行しする。そして、ウィルス液からウィルスDNAを抽出し、ランダムペプチド配列部分をPCRで増幅して、シークエンスにて解析する。得られた配列をもつアデノウィルスを作製してグリオーマ腫瘍幹細胞をターゲットにしたベクターの開発を継続していく。
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