本年度の研究は「研究実施計画」に基づき、HPMA-ZnPPミセルのPDT治療とイメージングについて検討を行った。 1. マウスS180モデルにおいて、HPMA-ZnPPとキセノン光源(MAX303、朝日分光)用いてPDT治療を検討した結果、HPMA-ZnPP濃度依存的な(520 mg/kg )、及び光照射量(照射強度、時間)依存的な腫瘍増殖の抑制が見られた。HPMA-ZnPP (20 mg/kg) 一回注射で、光照射(40% 強度で5分照射)二回行った結果、ほとんどの腫瘍は黒変し、消失した。この結果より、本光源を用いたHPMA-ZnPPのPDT至適条件(HPMA-ZnPP:20 mg/kg;照射:40-50%強度、5分間)が分かった。 2. DMBAの化学発がんのラット乳がんモデルを用いてPDT治療効果を検討した。本モデルで、治療は腫瘍が比較的に大きくなった時(直径約15-20 mm)に行った。上記の至適条件でPDTを行った結果、著名な腫瘍サイズの減少が見られた、治療40日後、コントロール(腫瘍サイズは約3倍増大)と比べ、治療群の腫瘍サイズは治療前の約1/10になった。 3. ブルーのLED光源(ピーク波長420nm付近)を用いて、DMBA乳がんモデルにおいてHPMA-ZnPP(20 mg/kg)で20分照射し、顕著な腫瘍増殖の抑制が得られた。 4. マウス180モデルにおいて、HPMA-ZnPP による腫瘍イメージングを検討した結果、20 mg/kgでiv注射すると、72時間まで強い腫瘍内蛍光が検出された。さらに、ニトログリセリン前処理により、更なる強い蛍光(HPMA-ZnPPの腫瘍内集積)が認められた。HPMA-ZnPPの腫瘍イメージング効果はDMBA乳がんモデル及びAOM/DSS誘発マウス大腸がんモデルにおいても認められた。
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