研究概要 |
本研究では、リモートセンシングを用いた純一次生産量の算定を高精度化するため、低空間解像度データと高空間解像度データを相補的に利用した新しい手法を開発する。研究手法は以下の四つで構成される。(1)高空間解像度データ(ALOS/AVNIR-2, PRISM)による植生情報の取得、(2)低空間解像度データ(Terra/MODIS)による時系列植生モニタリング[実施済]、(3)アメダスを用いた気象データ(日射量、気温、降水量)の整備[実施済]、(4)植物動態モデルBiome-BGCによる純一次生産量算定。このなかで、本年度は以下を実施した(見出し後の数字は該当する項目) (1)高空間解像度データを用いたパンシャープン手法の評価[1]:空間解像度の高いパンクロマチック画像(PRISM)と解像度の低いマルチスペクトル画像(AVNIR-2)を合成して解像度の高いマルチスペクトル画像を合成するパンシャープン手法について、分光情報劣化の影響を評価するため、航空機搭載ハイパースペクトルデータ(AVIRIS)を用いたシミュレーションを行なった。その結果、センサの観測波長帯、土地被覆の均質性、手法の違いがパンシャープン後の画質に与える影響が定量的に示された。 (2)高解像度データによる樹木位置抽出アルゴリズムの評価[1]:純一次生産量の推定を高精度化するため、高解像度リモートセンシング画像を用いた局所最大値フィルタ法により、樹木位置を自動手抽出する手法の開発を行なった。その結果、約60%の精度で樹木位置を正確に抽出できた。また、誤判別の主要因は樹木でない位置を樹木であると認識する過抽出であることが明らかとなった。 なお、項目4については実施することができなかった。
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