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2011 年度 実績報告書

亜熱帯海域における植物プランクトン分布と物質循環に対する微小動物の摂餌インパクト

研究課題

研究課題/領域番号 22710027
研究機関独立行政法人海洋研究開発機構

研究代表者

喜多村 稔  独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, 研究員 (00392952)

キーワード生物海洋 / 動物プランクトン / 摂餌圧 / クロロフィル極大 / 物質循環
研究概要

亜熱帯外洋域では,表面混合層とクロロフィル極大層で基礎生産力(表層で高,極大層で低)と植物プランクトン炭素現存量(表層で低,極大層で高)にミスマッチがある。本研究では「仮説;このミスマッチには表層での微小動物プランクトンの摂餌によるトップダウン効果が働いている」を提唱し,両深度層での摂餌圧を比較してこれを証明する。また,植物増殖/動物摂餌のバランスを変える要因を把握し,表層でトップダウン効果が恒常的に効くか否か明らかにする。
本年度は,2011年4月および2011年7月になされた調査航海において以下を行った。
・表層水(0m)および亜表層水(クロロフィル極大深度または相対照度1%深度)を用いた希釈培養実験
・有光層内の微小動物プランクトン個体数密度測定
両月ともに成層が形成され,亜表層クロロフィル極大は50m(4月,4月28日のみ0~70mで均一)および80m(7月)に認められた。希釈培養実験で得られた微小動物プランクトンの摂餌速度は,表層水で変動が大きく0~1.05d^<-1>,亜表層水では変動幅が小さく0.09~0.24d^<-1>だった。2010年(11月)および2011年(4,7月)の結果を統合すると,摂餌速度は表層水で0~0.05d^<-1>および亜表層水で0.03~0.24d^<-1>である。表層で変動幅が大きいことと摂餌速度が表層>亜表層である傾向は両年で変わらなかった。この結果は,本研究を開始するにあたってたてられた仮説を支持するが,表層のトップダウン効果は恒常的には働いていないことが考えられた。さらに,検鏡観察から有光層内の微小動物プランクトン個体数密度・バイオマスの鉛直変化を明らかにした。バイオマスの鉛直分布は表層で低く亜表層で高い場合が多く,摂餌速度の大小は微小動物プランクトン量に単純に比例する訳ではなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

外洋域における現場実験を複数回実施し,表層・亜表層における微小動物プランクトンの摂餌速度・変動幅を定量的に明らかにした。微小動物プランクトンの有光層内の鉛直分布を季節別に明らかにした。

今後の研究の推進方策

2012年6月に調査航海を行い,(1)表層および亜表層の希釈培養実験から摂餌速度測定,(2)微小動物プランクトンの個体数密度およびバイオマス測定,を行う。延べ3年間の観測・実験結果について,(イ)環境および微小動物プランクトン群集構造,(ロ)植物プランクトン量・基礎生産速度と微小動物摂餌圧の関係およびその深度変化,(ハ)植物の鉛直分布に対する微小動物のトップダウン効果に関する考察,(二)基礎生産者から消費者へ到る物質輸送過程の深度的差異に関する考察,の観点でとりまとめる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 西部北太平洋の生態系/物質循環南北比較研究:動物プランクトン2012

    • 著者名/発表者名
      喜多村稔
    • 学会等名
      日本海洋学会
    • 発表場所
      筑波大学
    • 年月日
      2012-03-29

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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