研究課題
農薬起源POPs排出量の不確実性解析と環境経済学的影響の評価のために、農薬貿易統計と,農薬起源POPs排出量データの整合性を再評価し、輸入額と量の変換係数に注目した。農薬の区分が明確でない場合もあり、本研究では最終的に国単位での農薬貿易額の総和を変数とした。エルニーニョ・南方振動(ENSO)と北極振動(AO)に応答する気候条件や殺虫剤の貿易統計のアノマリについての合成図を作成し、定量的な関係を導いた。特に、Handoh et al.(2006a)のモンテ・カルロ法を活用し、統計学的に有意なアノマリを検出した。この結果、代表的な気候変動モードに応答する農薬輸入額・輸出額と多様性を試算することができた。農薬貿易のアノマリを引き起こす気候変動モードはENSOであり、熱帯域におけるマラリア対策としての殺虫剤の使用実態が貿易統計から示唆された。また、農薬貿易と農薬起源POPs排出量に対する国際条約と気候変動の役割の評価をすべく、気候変動に応答する農薬貿易額・量を抜き出した。農薬起源POPs排出量に係る国際条約については、ロッテルダム条約とストックホルム条約の効果が、気候変動モードとは別に表れている国が確認できたものの、その有意性についてはさらなる検証が必要となった。国際条約と気候変動の相対的役割については、現時点では定量化に至っていない部分も多いが、本研究で得られた知見を国際誌に投稿し、WTOやUNEPなどの国際機関への提言の一助として、本研究の学術的意義と社会的意義を強調したい。
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10.1016/j.marpolbul.2011.01.015,How to Cite or Link Using DOI