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2011 年度 実績報告書

地表水と地下水の統合管理?水循環と法制度の交差?

研究課題

研究課題/領域番号 22710050
研究機関筑波大学

研究代表者

遠藤 崇浩  筑波大学, 生命環境系, 准教授 (50414032)

キーワード水循環 / 地下水 / 地表水 / 共有資源 / コモンズ
研究概要

現在、日本を含む多くの国にとって気候変動への対応策作りは危急の課題となっており、水資源の量的な拡充に重きをおく方針から、その有効利用といった需要管理をも加味した方針、いわゆる「総合的水資源マネジメント:Integrated Water Resource Management)」への移行が検討されている。
本研究では総合的水資源マネジメントの中でも特に基本的項目とされる「地表水と地下水の統合管理」に焦点を合わせつつ、それが必要な根拠-言い換えれば、地表水と地下水を分割管理することのデメリット-を明らかにすることを目的とする。具体的には、地表水と地下水の間に法的な分断がある水管理制度では、水をめぐる外部性の是正が十分になされない恐れがあるという仮説を掲げ、これを熊本県熊本市や愛媛県西条市等の地下水管理を事例に証明しようとするものである。
これまでの研究にて、(1)日本の地表水および地下水の法的制度発達の歴史、(2)地下水をめぐる判例といった基礎調査をベースに、熊本市・西条市で調査を行ってきた。その成果であるが、愛媛県西条市を事例に、地表水と地下水を分割管理することのデメリットとして、地表水利用者と地下水利用者の間で生じる外部不経済が十分に内部化されないこと、流域で水資源を利用する利害関係者の意見を幅広く政策に反映させることができなくなることを明らかにした。(Takahiro Endo,"A Boundary between Surface Water and Groundwater in Japanese Legal System: Its Consequences and Implications" in The Dilemma of Boundaries,edited by M.Taniguchi and T.Shiraishi, Springer-Verlag,2012.近日公刊)

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初の研究対象であった愛媛県西条市の地下水管理については近日中に論文が公表される。またもう一つの研究対象である熊本市の地下水管理についても資料収集をほとんど終えている。

今後の研究の推進方策

本年度は、主要対象地域の一つである熊本市の事例研究と同時に、調査の過程で新たに発見した岐阜県海津市の株井戸制度、長野県安曇野市の地下水涵養計画といった有力な研究材料についても調査を進め、上記の仮説を証明する取りまとめ作業を行う。こうした研究を通じて、地表水と地下水の統合的な管理が必要となる論拠を社会科学的な視点から提案することが可能となり、今後の水資源マネジメントに資することが期待される。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 2011

すべて 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 硝酸性窒素による地下水汚染:制度的対応について2011

    • 著者名/発表者名
      遠藤崇浩
    • 学会等名
      熊本大学CRESTシンポジウム『地下水帯水層中の硝酸性窒素汚染に如何に対処できるか?』
    • 発表場所
      熊本大学
    • 年月日
      2011-10-23
  • [図書] A Boundary between Surface Water and Groundwater in Japanese Legal System : Its Consequences and Implications in The Dilemma of Boundaries, Springer-Verlag, 2012(edited by M.Taniguchi and T.Shiraishi)2012

    • 著者名/発表者名
      Takahiro Endo
    • 総ページ数
      175-187
    • 出版者
      Springer-Verlag

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公開日: 2013-06-26  

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