研究課題
ファンコニ貧血は先天性の再生不良性貧血、高発癌性を示す重篤な遺伝病である。原因タンパク質であるFANCD2が如何に発癌に寄与するかを考察し、申請者らはFANCD2と中心体の関係について検討を行った。中心体は細胞分裂の際に微小管の形成中心として機能し、正確の染色体の分配に必須の細胞小器官である。中心体の機能異常は染色体異常を惹起するため、中心体異常は発癌の原因の一つであると考えられている。中心体異常の中で特に顕著なのは数の異常である。通常1つないし2つしか存在しないはずの中心体が何らかの原因により増える事により。細胞分裂の際に均一な核の分配が出来ずにゲノム不安定性の原因になると考えられる。実際、多くの癌細胞でその中心体の数の異常が観察されている。本申請研究において申請者らは、EANCD2が中心体の微小管形成機能を制御するのではないかと考え、微小管再構成実験を行った。その結果siRNAによりFANCD2をノックダウンした細胞ではコントロール細胞と比較して微小管が過形成されたことから、FANCD2は微小管が過剰に大きくならないように抑制する機能があることが示唆された。また、FANCD2の患者細胞では相補細胞と比較して有意に中心体の数が増えていた。以上の結果から、FANCD2は中心体の数と機能を制御する可能性が示唆される。これらの機能制御の破綻がファンコニ貧血につながる可能性を踏まえて次年度の研究を推進していく所存である。
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Molcular Cell
巻: 41 ページ: 515-528
Cancer Science
巻: 101 ページ: 2531-2537
http://www.rbc.kyoto-u.ac.jp/Genome/index.html