ヌクレオチド除去修復(NER)機構は、紫外線による主要なDNA損傷であるシクロブタン型ピリミジン二量体や6-4光産物を修復する。NERの前半課程完了後に、DNAポリメラーゼが1本鎖ギャップにリクルートされる段階からニックライゲーションまでのNER後期過程の分子メカニズムを明らかにする目的で、NER新規因子の探索をおこなった。 -siRNAライブラリースクリーニングによるNERに関与する因子の探索/同定- siRNAライブラリーを使用したパイロットスクリーニングとして、研究代表者らが新たに開発した修復合成(UDS)及びRNA合成回復(RRS)の活性測定法を活用し、UDS/RRS活性を指標としたスクリーニングを実施した。チミジン誘導体であるエチニルデオキシウリジン(EdU)及びエチニルウリジン(EU)をDNA損傷後に細胞に取り込ませ、アルキン=アザイドカップリン反応により蛍光色素を直接塩基に共有結合させ、簡便かつ低バックグラウンドで、3H-チミジン/3H-ウリジン法と同程度以上の検出感度/精度でスクリーニングが可能であった。siRNAスクリーニングは、SIGMAのMission siRNAを採用し、既知のDNA修復因子を多く含む核酸結合性蛋白質ライブラリーから開始し、2000遺伝子を調査した。 蛍光UDS/RRSアッセイにより、NER活性の低下が確認された候補遺伝子について個別にsiRNAを合成し、前述の核内損傷箇所への修復蛋白質の局在及びリクルートのキネティクス測定等により各NERエンドポイントを評価したところ、新規NER因子として~10程度の遺伝子が同定された。
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