X線照射したマウス受精卵の発生 前核期から8細胞期のマウス受精卵にX線を照射し、その後の発生の観察を行った。X線を照射した受精卵ではX線の照射線量の増加に伴い、細胞分裂が遅延していた。また、高線量のX線を照射した受精卵では凝集したDNAが観察され、アポトーシスの検出試薬を用いて解析したところ、それらの受精卵ではアポトーシスによる細胞死が誘導されていた。 マウス受精卵におけるDNA修復遺伝子の局在 X線照射したマウス受精卵のDNA修復遺伝子を、抗体を用いた免疫染色により観察した。DNAの切断部位周辺でリン酸化されるヒストンH2AXに加え、他のDNA修復遺伝子もヒストンH2AXがリン酸化されているDNA切断部位周辺に局在が観察された。そしてそれらの局在は時間の経過と共に消失し、着床前期受精卵においてもX線照射によるDNA損傷に対し、DNA修復が行われていることが予想された。 中線量のX線を照射したマウス受精卵の発生、着床の解析 中線量のX線を照射したマウス受精卵を偽妊娠マウスに移植し、受精卵の発生と着床の解析を行った。中線量のX線を照射した受精卵では、吸収胚の割合が増加し、胎児の数が減少していた。ハッチングの影響を解析するために、透明帯を除去した受精卵において同様に偽妊娠マウスへの移植と着床、発生の解析を予定していたが、季節により偽妊娠マウスにおける着床、出産数が変化し、通常の受精卵と比較してハッチングの影響を検討することが出来なかった。
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