研究概要 |
本研究は,ハイブリッドフィルタの「孔」と「ろ材」に配分されるの気流と粒子の挙動,その粉じん負荷による性能変化,運転に必要なコスト・エネルギー・環境負荷のバランスを明らかにして最適な環境負荷抑制性能を持つハイブリッドフィルタ技術を確立するため,(1)ハイブリッドフィルタの設計に用いる初期性能の把握(2)コスト・環境負荷・性能分析に基づくハイブリッドフィルタの最適構造設計(3)粉じん負荷時の性能変化の把握と環境リスク削減性能の評価(4)実用可能性の検討と課題の抽出を行う。昨年度は,(1)(2)(4)を計画し,HEPAフィルタをベースに(1)(2)を実施した。孔の大きさと圧力損失の関係をまとめた。実験結果から,孔をあけたフィルタの捕集性能は,ほぼ単純にあけた孔からの流出ぶんだけとなり,試算したとおり捕集効率の粒子径依存性はフラッタなものとなった。孔をあけたフィルタの圧力損失低減効果は,そのために犠牲となる捕集効率の低下に比べて大きく,アイデアの方向性が正しいことを検証できたが,中性能フィルタの圧力損失はHEPAフィルタの1/10程度と非常に低かったため,予想と異なり中性能フィルタと同等以上の初期性能を持つハイブリッドフィルタの条件を見つけることができなかった。 このため,今年度は,中性能フィルタをベースに長寿命化を目指したハイブリッドフィルタの設定に方向を転換し,(2)のために得られたバイオマス燃焼排ガス中粒子濃度と組成を想定して実験を進め,(3)粉塵負荷耐性を中心に検討する。
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