研究概要 |
本研究は,ハイブリッドフィルタの「孔」と「ろ材」に配分されるの気流と粒子の挙動,その粉じん負荷による性能変化,運転に必要なコスト・エネルギー・環境負荷のバランスを明らかにして最適な環境負荷抑制性能を持つハイブリッドフィルタ技術を確立するため,(1)ハイブリッドフィルタの設計に用いる初期性能の把握(2)コスト・環境負荷・性能分析に基づくハイブリッドフィルタの最適構造設計(3)粉じん負荷時の性能変化の把握と環境リスク削減性能の評価(4)実用可能性の検討と課題の抽出を行う。 また,粉塵負荷を検討するためにはバイオマス燃焼から発生する粒子状物質の基礎的な特性を把握する必要があるため,様々な小型炉でバイオマス燃料を燃焼させる実験を行った。実験は薪ストーブ,ペレットストーブに加え実験室レベルの管状炉を利用したが,燃料の性状・や加熱方法により,燃料あたりの粒子の発生量は100倍以上,粒子径分布も10倍以上の差異が発生したが,その要因は燃料そのものよりも,燃焼温度,特に燃料が400℃付近の不完全燃焼領域を通過する時間をいかに短くして着火燃焼させられるかという点に依存していることが判明した。 孔の大きさと圧力損失の関係をまとめたが,さらに条件を広げて実験を行い,検証した結果,実験結果から,孔をあけたフィルタからの粒子の透過率は,ほぼ単純にあけた孔からの流出ぶんに比べ平均で2%ほど高くなった。この原因として,孔周辺の流れが急激に曲げられる際に,慣性の大きな粒子が孔の周辺の捕集された可能性が考えられる。また,粉塵負荷にも耐える条件も検討したが,燃焼条件によって粒子濃度と粒子径,必要な耐久性が著しく異なるため,コストの検討は今後の検討課題として独自に進めることとした。
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