本提案では、マイクロ波加熱による特異的な反応促進効果を利用した革新的低環境負荷プロセスの確立を目指している。マイクロ波照射時における反応過程の直接観察手法の確立、発熱挙動の解析といった研究項目に対して、表面科学的、結晶学的、分光学的等、様々な見地、手法を駆使して学術的解明を図り、いわゆる「マイクロ波効果」と称される特異な現象や反応の発現の解明の足がかりとなる成果を目指し、セラミックス製造プロセスにおける省エネルギー化、環境負荷低減化を達成する技術を開発している。 初年度は、マイクロ波照射効果の解明について検討した。具体的には、マイクロ波照射時における反応過程の観察及び、発熱挙動の解析を行った。スイープジェネレータ、空洞共振器およびネットワークアナライザを用い、空洞共振摂動法による誘電率温度特性評価システムを構築し、水和物の誘電率温度特性測定や、水和物のマイクロ波加熱特性の評価を行った。 これまでに空洞共振摂動法による誘電率特性評価システムの開発に成功しており、これらシステムを用いて、表面処理した粉体は劇的にマイクロ波吸収が向上することを明らかにしている。またこれらの結果から、マイクロ波効果による反応促進効果がマイクロ波吸収による熱的効果によるものであることが明らかになった。また使用する紛体の表面構造とMW吸収効率の体系化についても着手するなど、当初の計画予定通りに順調に研究を遂行している。
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