研究概要 |
急速に進展する小型・薄型電子機器等において,デバイスの高出力化に伴い,放熱対策が重要な課題となっている.従来の放熱性プラスチックは,金属あるいは炭素の粉や繊維を高充填するため,比重の増加,成形加工性や柔軟性の低下といった問題があり,さらに省資源化の観点からも好ましくない. 本研究では,高熱伝導化を達成するために,複数の材料を複合化することで,単一材料では得られないトレードオフ機能を発現する新規有機/無機ハイブリッド材料の創製とその特性評価について検討を行なった.熱伝導性を付与する無機充填材として窒化アルミニウムを,有機材料として樹脂A及び樹脂Bの2成分に充填した有機/無機ハイブリッド材料の調製を小型2軸混練機にて行ない,その構造制御とその熱伝導性の評価,特に窒化アルミニウムフィラー充填量と樹脂A/Bの配合割合がハイブリッド材料の熱伝導率および力学特性に及ぼす影響について検討を行った. 得られた結果を以下に示す. 1.窒化アルミニウムの存在相:走査型電子顕微鏡観察の結果,界面相に局在化せずに,樹脂2成分のうち,樹脂1成分にのみに分散し,かつその樹脂相が連続相を形成し,連続相中で熱伝導性パスを形成することが明らかとなった. 2.ポリマーが他種2成分,例えば,ポリオレフィン系樹脂/ポリアミド系樹脂,ポリスチレン系樹脂/ポリアミド系樹脂であるポリマーブレンド系の場合,窒化アルミニウムは極性の高い樹脂に局在化する傾向があることが明らかとなった. 3.窒化ホウ素充填ハイブリッド材料の熱伝導性及び力学特性の評価:同じ樹脂成分のポリマーブレンド系で比較した場合,フィラー形状の影響により,窒化アルミニウム充填系の方が高い熱伝導率を示した.
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