本研究は、ディーゼル自動車等から排出され、酸性雨や光化学スモッグの原因となるNOxについて、これを効率良くN2に還元浄化する触媒の創出を目的としている。これまでに我々は、固体酸性担体を用いたPt担持触媒が、反応系中においてNH_3を生成することで、良好なNOx浄化特性を示すことを見出している。そこで、平成22年度では、上記触媒とNH_3を還元剤としたNOx浄化に高い活性を有する(NH_3-SCR)ゼオライト系触媒とを複合化することで、さらなるNOx浄化特性の向上を検討した。 水熱合成法により種々の条件でAlPO_4を作製し、それらの形状をSEMにより観察した結果、テトラエチレングリコールを若干量添加した場合に、数μm程度の正八面体粒子の生成が確認された。上記の形態制御されたAlPO_4粉末から作製したPt担持触媒のNOx還元活性を評価したところ、110~170℃で約50%のN_2転化率が得られ、市販のアルドリッチ製AlPO_4から作製したもの(140℃、約40%のN2転化)に比べて高い触媒活性を示した。さらに、静電作用により複合化したPt/AlPO_4-ZSM5では、N_2転化率は110~200℃で約50~60%となり、単独のPt/AlPO_4よりも高い活性を示した。比較として、物理的混合により作製したPt/AlPO_4-ZSM5では、顕著な活性の向上が認められなかったことから、Pt/AlPO_4とZSM5との界面状態が、触媒活性に影響していることがわかった。
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