ディーゼル車が主な発生源となるNOxは、人体への有害性だけでなく酸性雨等の環境破壊の原因ともなることから、これの効率的な除去技術の確立が求められている。我々は、固体酸性担体を用いたPt担持触媒が、反応系中においてNH_3を生成し、これが還元剤として機能することで、良好なNOx浄化特性を示すことを見出している。今年度は、固体酸点の発現が期待されるモリブデン酸によりPt/AL_2O_3触媒表面を修飾し、水素を還元剤としたNOx浄化特性を評価した。 作製した触媒のうち、25wt%のモリブデンを担持したものが最も活性が高く、モリブデンを担持していないPt/Al_2O_3の最大N_2転化率が50%以下に留まることに対して、100~200℃の広い温度範囲で約60%以上のN2転化率を示した。35wt%のモリブデンを担持した触媒のXRD測定から、Al_2(Mo_O3)_3相の生成が認められた。NH_3昇温脱離スペクトルから固体酸性度を調べたところ、モリブデン修飾した触媒では未修飾の触媒に比べて高温側でのNH_3の脱離が観察されたことから、固体酸性度がNOx浄化特性に寄与していることが考えられる。DRIFTsにより反応中間種を評価した結果、過剰の酸素共存下にもかかわらずNH_3の生成が確認され、良好なNOx還元能を有するNH_3が反応過程において生成し、これが固体酸点で保持されNH_3-SCR的に還元反応が進行することで、優れた触媒特性が得られたことが示唆された。
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