研究概要 |
本研究では、空間上に無数に飛び交う携帯電話等の無線信号から効率良く発電するエネルギーハーベスティング技術とアクティブRFIDタグ、ZigBee、情報家電のリモコン送信機、自動車のキーレスエントリー等の小型無線機器など、産業用機器から一般家庭用機器まで多種多様な分野への利用可能な高効率蓄電技術の確立を目的とする。この目的を実現するため、平成22年度では環境発電を行うレクテナの設計を行った。エネルギーハーベスティングを行う周波数として,最低周波数は2121.25MHz(CDMA),最高周波数は2142.40MHz (WCDMA)に設定し,電界強度が130dBμV/m程度であれば,RF出力が12dBm以上になるよう設計を行った。検波回路はマイクロストリップ線路により,2GHz帯の同調回路とショットキーダイオードにより高効率整流回路を設計した。試作したレクテナは16パッチアンテナで構成し,実験を行い基地局から180m離れた場所に実験機を設置・測定した結果は以下になった。まず,受信電力は3.8dBmで検波電圧は21mVを得ることができた。また,100m離れた場所での結果は受信電力が8.8dBmで検波電圧は92.6mVになり,近似により実際駆動可能な電力を発電するために必要な距離を計算したら装置を基地局から約12m以内に置く必要があることがわかった。この結果により携帯電話等の無線信号から小型無線機器を駆動可能な発電ができることが確認できた点は大きな意義であり,更に距離を拡大しながら発電量を増やす設計と高効率蓄電技術の開発を平成23年度に行う予定である。
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