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2010 年度 実績報告書

各種汚染底質に生息するゴカイ類の浄化機能の解明と応用

研究課題

研究課題/領域番号 22710083
研究機関独立行政法人水産総合研究センター

研究代表者

伊藤 克敏  独立行政法人水産総合研究センター, 瀬戸内海区水産研究所 環境保全研究センター, 任期付職員 (80450782)

キーワード環境浄化 / 環形動物 / プロテアーゼ / セルラーゼ / チトクロムP450
研究概要

ゴカイ類を用いた海洋底質環境浄化(バイオレメディエーション)技術の確立を目的とし、生息域の異なるゴカイ類の有機物代謝系及び異物代謝系の種間における代謝能力を比較検討した。
有機物質代謝酵素活性測定の結果、タンパク質が多く蓄積する養殖場下に生息するイトゴカイはタンパク質を分解するプロテアーゼ活性が高く、また陸上起源の植物系有機物が蓄積する河口域に生息するスナイソゴカイは、セルロースを分解するセルラーゼ活性が高値を示した。また、化学物質の代謝に寄与する異物代謝酵素であるチトクロムP450(CYP)活性を測定した結果、ゴカイ種間において活性に差が認められた。
各酵素遺伝子のクローニングの結果、イトゴカイからプロテアーゼ、スナイソゴカイからはセルラーゼと高い相同性を持つ遺伝子を得た。イトゴカイのプロテアーゼ遺伝子は腸管及び体表で、スナイソゴカイのセルラーゼ遺伝子は腸管で強い発現が観察された。さらに、無細胞タンパク質合成系を用い合成したスナイソゴカイのセルラーゼは酵素活性を保持した。CYP遺伝子については、イトゴカイおよびイソゴカイからCYP4ファミリーと相同性の高い遺伝子の部分配列を得た。
環境調査の結果、汚染の進行した底質において、ゴカイ類が底生生物のなかで最も高いバイオマスを占め、多数の種類が確認された。
当該年度の研究結果から、遺伝子・タンパクレベルでゴカイ類が各種汚染底質に適応した底質浄化能を保持していることが示唆された。各種汚染地域の底質に適したゴカイ種を選定・利用する効率の良いバイオレメディエーション技術を開発することは、漁場環境の保全の達成と安心・安全な水産物の生産に向けた大きな一歩となります。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Study of sediment cleanup using polychaete2011

    • 著者名/発表者名
      Katsutoshi Ito
    • 雑誌名

      Interdisciplinary Studies on Environmental Chemistry-Marine Environmental Modeling & Analysis

      ページ: 133-139

    • 査読あり
  • [学会発表] 多毛類の海洋底質汚染物質浄化に係わる物質代謝機構の解明2011

    • 著者名/発表者名
      伊藤克敏
    • 学会等名
      日本生態学会第58回大会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      20110300
  • [学会発表] ゴカイ類が有する有機物分解能の分子生物学的解析2010

    • 著者名/発表者名
      伊藤克敏
    • 学会等名
      平成22年度日本水産学会秋季大会
    • 発表場所
      京都大学吉田キャンパス
    • 年月日
      20100900
  • [学会発表] Study of sediment cleanup using polychaete2010

    • 著者名/発表者名
      Katsutoshi Ito
    • 学会等名
      International Symposium on Modeling and Analysis of Marine Environmental Problems
    • 発表場所
      松山
    • 年月日
      20100900

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公開日: 2012-07-19  

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