研究概要 |
金属ナノ構造が発現するプラズモン共鳴はナノ領域への光局在化および光電場増強によって新しいナノスケールイメージング,SERS(Surface Enhanced Raman Scattering)を用いた高感度化学分析,光導波路による集積回路,負の屈折率を有するメタマテリアルなど幅広い応用が期待されている.その金属ナノ構造を作製する手法として期待されている技術はナノ粒子のセルフアセンブルである.プラズモン共鳴の特性は,近接したナノ粒子との相互作用があるため,ナノ粒子の間隔に大きく依存する.そこでナノ粒子のプラズモン共鳴の特性を制御するために,粒子表面間隔を制御可能な新しいナノ粒子配列技術を提案し,その確立を本申請課題の目的とした, ナノメータスケールの溝パターンをテンプレートとしたTemplate-Assisted Self-Assembly手法によって,粒子二量体構造の粒子間隔を10nmから60nmまで10nm毎に高精度に制御できる技術を構築した.ナノスケール溝へのセルフアセンブルの際に問題となる粒子間反発力を電解質添加によって抑制し,90%程度の高収率で粒子間隔が制御された粒子二量体構造を作製することに成功した.さらにセルフアセンブル収率を粒子凝集速度および粒子分散安定性から予測するモデルを構築した.このモデルでは粒子径のばらつきを考慮することで高精度な解析が可能となる.そして,上述の粒子間隔を有する配列だけでなく,複数のナノ粒子が密接して直結した配列を高収率で作製することに成功した.この構造をSERSに応用し,粒子直結方向と平行に偏光を照射することで高いラマン信号を得られることを明らかにした. 粒子間隔を制御したナノ粒子セルフアセンブル配列技術を構築し,SERSへの応用についてその有用性を実証した.これらの成果により,金属ナノ粒子配列によってプラズモン共鳴特性を制御し,様々な応用における特性向上が期待できる.
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