研究概要 |
担持金クラスター触媒のキャラクタリゼーションの手法として、金触媒の研究者は主にTEMを用いて担持した金の粒子径を測定することで、触媒活性を議論してきた。しかし、金の粒子径がクラスターサイズになると、数え落としの問題が大きくなってくる。本研究では、担持金クラスター触媒のキャラクタリゼーションの手法として、197Au Mossbauer分光法を掲げると同時に、最近よく用いられるようになったXAFS(EXAFS解析)とTEM/HAADF-STEMといった手法を用いて、互いの弱点を補い合う担持金クラスター触媒の評価システムを構築することを目的とした。 197Au Mossbauer分光法を用いた担持金クラスター触媒のスペクトルは、まったくと言っていいほど研究された例がない。22年度はまず、安定に存在できるとされている高分子(もしくはチオール)で保護された金クラスターを合成し、測定を行うことでクラスターの大きさによってスペクトルの違いがどのように出るのかを調べた。この実験で、197Au Mossbauerスペクトルがクラスター敏感なスペクトルの明確なシフトを起こすことがわかった。また、すでにXAFSの解析やHAADF-STEMの観察より金の大部分が金クラスターとして担持されていると考えられるAu/Al-MOF (Al-MOF : Al(OH) (OOC-C6H4-COO),配位高分子)について、実際に197Au Mossbauerスペクトルの測定を行ったが、触媒調製がうまく行かなかったため、思ったような結果が得られなかった。一方で、Cd-MOFに関してはXAFSの解析ができた。これに関しては、共著者に論文投稿をお願いし、2011年に論文が発表された。一方で担持金クラスター触媒の新規調製法の開発についても模索を行ったが従来の方法と比較して有為差のある改善は見られなかった。
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