研究概要 |
担持金クラスター触媒のキャラクタリゼーションの手法として、金触媒の研究者は主にTEMを用いて担持した金の粒子径を測定することで、触媒活性を議論してきた。しかし、金の粒子径がクラスターサイズになると、数え落としの問題が大きくなってくる。本研究では、担持金触媒のキャラクタリゼーションの手法として、広く^<197>Au Mossbauer分光法を掲げると同時に、最近よく用いられるようになったXAFS(EXAFS解析)とTEM/HAADF-STEMといった手法を用いて、互いの弱点を補い合う担持金触媒の評価システムを構築することを目的とした。 すでにXAFSの解析やHAADF-STEMの観察より金の大部分が金クラスターとして担持されていると考えられるAu/Al-MOF(Al-MOF:Al(OH)(OOC-C_6H_4-COO),配位高分子)やCd-MOFについて前年度では成果が出て論文化することができたが、今年度はFe-MOFやZn-MOFについても^<197>Au Mossbauerスペクトルの測定を行ったが、金クラスターの検出はできなかった。また同じサンプルのXAFSを測定したが、同様に検出はできなかった。 一方で、水素気流下で還元させたAu(OH)_3/Ni(OH)_2は、金が原子状に分散することがわかった。触媒活性も、通常の金触媒では進行しない反応が進行した。XAFS測定から、同時に水酸化ニッケルも還元してしまっていたことが判明した。上記のコンセプトに基づき^<197>Au Mossbauer分光法とXAFS(EXAFS解析)、それに画像分析のTEM/HAADF-STEMを組み合わせることで、キャラクタリゼーションを行い、これまでにない低温でのニッケル金の合金化が示唆された。結果として互いの弱点を補い合う担持金触媒の評価システムを構築することができた。またこの結果は2報の論文にすることができた。
|