研究課題/領域番号 |
22710111
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
前田 泰 独立行政法人産業技術総合研究所, ユビキタスエネルギー研究部門, 研究員 (30357983)
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キーワード | 固体高分子型燃料電池(PEFC) / 電極触媒 / 走査プローブ顕微鏡 / 電子間力顕微鏡 / SIS-AFMモード / フォースカーブマッピング / Au / mica |
研究概要 |
燃料電池、特に低温で使用する固体高分子型燃料電池(PEFC)において、高性能電極触媒の開発は実用化に向けた重要な技術的課題である。その開発に向けた試みの一つとしてナノクラスター化がある。これは、クラスターの量子サイズ効果を期待したものである。構造としては、白金ナノクラスターなどの触媒が導電性電極に分散・固定されたものになるが、この時ナノヘテロ界面の理解が必要不可欠となる。本研究では、貴金属クラスターを担持したモデル電極を対象として、走査プローブ顕微鏡によるクラスターの電位と個/液界面での電気二重層の測定を行い、ナノ領域での電極/クラスター/溶液界面の性質を静電ポテンシャルによって整理することを試みる。 本年度は、ポテンシャル測定を行うための準備として、SIS-AFMモードによるフォースカーブマッピングを実施した。SIS-AFMモードはエスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社が開発した測定モードで、データ取得時以外は探針を上空に待避させるため、液中での安定走査が期待できる。本研究では、固液界面のポテンシャル測定を行うために、このSIS-AFMモードにフォースカーブマッピング機能を追加した。SIS-AFMモードでのフォースカーブマッピング測定では、測定時間に対して出力のドリフトが大きいことが問題となったが、外部電源によりドリフト補正することで解決することができた。さらに、フリーの解析ソフトWSxMを利用して任意の断面でのフォースカーブの空間表示(y-z表示)を行うためのデータ処理手順を確立した。 実際にAu/micaについて測定したところ数10nmレベルで吸着力の違いをマッピングすることができた。その他、液中試料ホルダや解析方法についても検討を行い、基礎技術の確立について当初目標を達成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
液中でのフォースカーブマッピングを安定して行うためにSIS-AFMモードに基づく方法をデータ処理手順も含めて開発し、基礎的技術の確立については当初目的を達成した。これを用いてAuクラスターについての測定も実施できており、「研究の目的」に向けておおむね順調に進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
研究は順調に進展しており、計画の変更は不要。ただし、予期せぬ事態に対応するためにも研究は可能な限り前倒しに実施しすることとする。
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