研究概要 |
研究目的: 本研究は、ナノファイバーを用いた幹細胞の未分化状態を制御する新規手法の開発を目的とする。 研究実績:フィーダー細胞を使用せずにiPS/ES細胞の多能性を維持・培養する手法の開発が求められている。申請者はナノファイバーを幹細胞の足場材料として用い、未分化状態を制御する新規手法の開発を目指してきた。この2年間で、フィーダー、血清を使用せずに、新規ナノファイバー上で、マウス及びヒトiPS/ES細胞を培養し、細胞の未分化状態維持に成功した。さらに、ナノ加工法により、マウスES細胞及びヒトiPS/ES細胞をパターニングさせる新規手法も確立した。 (1)前年度には、高分子材料であるPMGIで作ったナノファイバーがフィーダー細胞に代わり、マウスES細胞の未分化状態維持を確認した。今年度は、このファイバー上でマウスES細胞の長期培養が可能であることも確認した。この研究成果は国際学会(2nd NanoToday,2011,8th iCeMS international sympusium)で発表した。さらに、国際誌Biotech.Letterに投稿し、revision中である。 (2)ナノファイバーとMEMS加工技術との融合によりナノファイバーパターンを作製し、マウスES細胞をパターン化する方法を確立した(Microelectro.Eng.投稿準備中)。 (3)生体適材料Gelatinをナノファイバーの材料として、ヒトES/iPS細胞の未分化状態を長期的に維持することに成功した(Nature Biotechnology投稿準備中)。具体的には、最適な条件を見出すため、ファイバーの密度、太さ、構造、安全性などの条件を検討し、ヒトES細胞の未分化状態を維持できる条件を見出した。ヒトiPS/ES細胞に適切な材料選別とこのナノファイバーの最適化を検討した。 (4)Micro Contact Printing(μCP)、photolithgraphなどのMEMS技術と融合して作られたパターンナノファイバー上で、ヒトiPS/ES細胞をパターニングする新幹細胞培養手法を開発した。この手法により、今までコントロールできなかったクローニンのサイズや位置などを制御できるようになった(Nano Lett.投稿準備中)。
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