研究課題
本研究は、RF-MEMSスイッチの接点部や構造体の信頼性を向上させることを目的としている。22年度においては、接点部への導電性高分子などのソフトマテリアルの適用可能性について調査を行った。平成23年度は、主に下記についての検討を行った。1.横方向駆動型PZT-MEMSスイッチの作製法の開発従来の面外方向駆動型の圧電MEMSスイッチは、低電圧駆動と大発生力、大変位量を同時に満たすことが困難であり、実用に足る性能を得るのは容易ではない。そこで、面内方向駆動型の圧電PZT-MEMSスイッチを本研究では提案し、その作製プロセスを開発した。剛性が縦方向に大きくなるように高アスペクト比の構造体を駆動部とし、それらを連結することで上記問題を本質的に解決できるデバイスを提案した。このデバイスを実現させるために、Siのトレンチ構造にナノコンポジットゾルゲル法でPZTを埋め込むことで、アスペクト比6以上のPZT構造体を作製した。そして、この高アスペクト比PZT構造体をアクチュエータ部に使用したスイッチを試作した。2.高分子材料の気相堆積、エッチングプロセスの開発前述の面内駆動型の接点部は、構造体の側壁に形成されるため、立体構造への導電性ソフトマテリアルの堆積技術が必要である。そこで、導電性高分子の化学気相堆積(CVD)の検討を行った。まず、高分子堆積用CVD装置を自作し、原理実証実験としてポリグリシジルメタクリレート(PGMA)のコンフォーマル堆積実験を試みた。その結果、アスペクト10以上のSi構造体に対してもPGMA薄膜を均一に堆積させることに成功した。本実験によって、π共役系を有する前駆体を用いることでCVD法によって導電性高分子のコンフォーマル堆積を実現できる可能性が示唆された。また、オゾン溶液エッチングを利用した有機材料のパターニング技術を開発した。この手法は、π共役系が高度に発達した高分子材料や、無機物含有難除去性有機材料のパターニングに極めて有効であることが実証された。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件)
Journal of Micro/Nanolithography, MEMS, and MOEMS
Nanoscale
巻: 3(12) ページ: 5049-5058
Nanotechnology
巻: 22 ページ: 335302