研究概要 |
微小分割を用いた細胞単離の条件検討のため、ディスク中央から外周部に向かってジグザグ状に形成した微小流路に沿って、400μm幅、300μm深さのマイクロウェルを約2,700個、周期的に外周側に配置させた構造のマイクロウェルアレイを作製した。微小分割において細胞を単離する場合、その分配はポアソン分布に従うため、細胞懸濁液に含まれる細胞が全てのウェルに均等に分配されるためには、微小流路の上流と下流にて細胞の濃度が一定でなければならない。そのため、マイクロウェルの形状を楕円形状とすることにより、上流から下流まで細胞がスムーズに流れることにより、上流側で細胞が過剰にトラップされず、一定の密度で流路出口まで流れる細胞単離に最適なデザインを実現した。これにより、大腸菌やサルモネラ菌について、遠心制御のみで多数の細胞を同時に単離出来ることを顕微鏡観察により確認するとともに、その分布がポアソン分布に従うことを確認した。また、ディスクの材質の検討を図り、シリコン/ガラス系と樹脂系の2種類のディスクを開発し、比較検討を行ったところ、樹脂系材料を利用した場合には、物理的吸着やぬれ性に依存する溶液の残存が確認され、細胞単離に利用するには改良が必要であることが判明した。また、細胞単離の処理能力向上のため、サイズを拡張し集積度を上げたディスクのデザインについての見通しを得た。
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