研究概要 |
転換社債による資金調達を考慮した投資評価に関して,初年度の本研究では劣後特約条項付き転換社債を発行する企業の投資評価モデルと企業価値を最大にするような最適なクーポン支払いを求める最適資本構成の下で,転換社債を発行する企業の投資戦略についての理論的研究を中心に行った. 劣後特約条項付き転換社債を発行する企業の投資評価モデルに関しては,普通社債が優先債,転換社債が劣後債であるので,この優先劣後構造によって,債務不履行の際普通社債の保有者が額面を全額保証されないならば転換社債の保有者への支払額はなくなる.この状況を考慮して,それぞれの債券価値を最適停止問題として定式化し,さまざまなパラメータの下で,投資戦略を分析した.この研究成果は,日本ファイナンス学会第18回大会(5月・上智大学)および6th World Congress of the Bachelier Finance Society(6月・トロント)において報告をおこなった. また,最適資本構成の下での評価に関しては,株式価値,普通社債の価値,転換社債の価値,投資オプションの価値倒産の閾値転換の閾値,投資の閾値,最適なレバレッジ率を求め,最適資本構成の下での投資戦略と債券発行額に制約を入れ,内生的にクーポン支払いを決定した場合の戦略との比較を行った。この研究成果は,INFORMS Annual Meeting 2010(11月・オースティン),日本リアルオプション学会2010年研究発表大会(11月・東京大学),日本オペレーションズ・リサーチ学会研究部会「ファイナンス理論の展開」第7回研究会(2月・首都大学東京)等において報告をおこなった.
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