研究課題
本研究の目的は、様々な形式で表現された最適化問題を自動的に対称錐計画問題に変換するためのモデリングツールを開発することである。平成23年度は次の研究を行なった。(1)大規模な応用問題を解くため、疎性や構造を利用することにより効率的に計算する様々なアルゴリズムが提案・実装されてきた。これらのアルゴリズムを実行するときの実際の計算時間は、使用ライブラリや計算機のアーキテクチャにも大きく依存する。そのため、自動チューニング技法を応用した計算時間の推定法を開発した。その結果、様々な環境下での正確な計算時間の見積もりができるようになった。これにより、モデリングの「効率性」の測定が可能となった。(2)実行可能内点解が存在しない対称錐計画問題を内点法で解くと、数値的に不安定になる現象が多くみられる。この原因を解決するために、拡張自己双対形に対する内点法で得られた近似最適解に対して、主問題変数の側のみを対象として拡張主双対法を施す手法を開発した。(3)様々な形式の最適化問題が与えられたとき、それを帰着させる問題の疎性や構造にも着目し、出来るだけ効率的に解けるような対称錐計画問題へ帰着する枠組みについて研究を進めた。これについては、今後プログラミング言語C++を用いたモデリングツールの実装に組み込み、マニュアルの作成やライブラリ化などの周辺整備も行う予定である。これらの成果を専門分野の研究者に紹介し、学術交流を通じてその意義を明らかにするため、2本の査読付き論文と1本のテクニカルレポートにまとめた。対称錐計画問題は非常に強力な問題記述能力を持ち、主双対内点法により実用的に解くことができるという特徴を持った最適化問題である。本研究により、専門外の人が効率的に対称錐計画法を利用できるようになる。
2: おおむね順調に進展している
当初の目的であった効率的に対称錐計画法を利用するためのモデリングツールの開発する上で基盤となる研究が着実に進んでいる。
平成23年度の研究計画としていたが、予定以上に困難であったため終了しなかったプログラミング言語C++を用いたモデリングツールの実装を行う。その際、マニュアルの作成やライブラリ化などの周辺整備も行う。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件)
ACM transactions on Mathematical Software
巻: (掲載確定)
Handbook on Semidefinite Cone and Polynomial Optimization, Springer
ページ: 687-714
Technical Report, Department of Industrial Engineering and Management, Tokyo Institute of Technology
巻: No.2011-11 ページ: 1-29