研究概要 |
本研究課題は,作業システムにおける問題点・着眼点の発見に資することを狙う経営工学的視点に立脚し,HCI(Human Computer Interaction)と特徴付けられる作業において行われる認知オペレーションについて,眼球運動データおよびこれを補完する行動データの統合により心的処理を評価するための分析方法を構築することを目指し実施している.本年度は,HCIにおける認知オペレーション記述モデルの活用方法の探索と精緻化に関して,特に実践上の問題を明らかにすべく研究を実施してきた.具体的には,実際のHCI作業として医療従事者のタスクを取り上げ,ここで得られる眼球運動・行動データの特徴,そしてそれに影響を及ぼす要因の同定を通して,認知オペレーション記述モデルの活用方法を探索するとともに,モデルの精緻化を行い,以下のような成果を得た. (1)医療タスクのうち臨床工学技士の行う透析関連業務の内容に着目し,これに合致した形での作業および処理の記述方法を構築した. (2)透析関連業務従事中の臨床工学技士から眼球運動および行動データを獲得した. (3)(2)のデータについて,(1)で構築した方法によりデータを視覚化し,分析可能な形へと変換した.そのうえで眼球運動特性および注意の分配プロセスと作業パフォーマンス間の関係について詳細に検討し,作業パフォーマンスへの影響要因に関する示唆を得た. (4)一連の分析手順(データ獲得,書き起こし,コーディング,パフォーマンス評価)について整理し,体系だった分析方法の枠組み(構築する方法の基礎)として整理した.
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