研究概要 |
本年度は,施設配置と道路網の頑健性を一体的に評価するためのモデルを構築し,施設閉鎖・道路閉塞によって住民から最寄りの利用可能な施設までの距離がどの程度増加するのかを分析した.具体的な研究成果は以下の通りである.1.格子状配置とランダム配置を対象として,住民から最も近い施設までの距離と2番目に近い施設までの距離の同時分布を導いた.距離の計測には,代表的な距離である直線距離と直交距離を用いた.同時分布を用いて2つの施設までの距離の関係を分析し,最寄り施設が閉鎖された場合の距離の増分が都市内でどのように分布しているのかを明らかにした.2.格子状配置とランダム配置を対象として,移動途中に施設に立ち寄るための寄り道距離分布を導いた.そして,起終点間距離や起終点の位置関係が施設までの距離にどのような影響を及ぼすのかを明らかにした.また,寄り道距離分布はサービス需要が点として表される一般の施設に対する距離分布をフロー需要型施設へ一般化したものであることを確認した.3.格子状配置を対象として,道路が閉塞した場合の最寄り施設までの距離分布を導いた.道路閉塞は正方形の通行不能領域で表現し,施設までの距離は直交距離で計測した.道路が閉塞する前後の距離分布を比較することで,道路閉塞の位置や大きさが施設までの距離にどのような影響を及ぼすのかを明らかにした.以上の研究成果は,実際の都市における施設配置・道路網の頑健性を評価する際の基礎資料として有用である.
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