研究課題/領域番号 |
22710142
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西原 理 大阪大学, 経済学研究科, 講師 (20456940)
|
キーワード | ファイナンス / 金融工学 |
研究概要 |
複雑な利害関係者とペイオフ構造をもつリアルオプションモデルの構築と分析を多く行った。特に、多次元の状態変数(確率過程)を含む多次元モデルや、エージェンシー問題や非対称情報を含むモデルを開発することで、投資プロジェクトマネジメントという問題を、総合的に分析した。 例えば、本年度に新たに執筆した論文として、「Investment timingwith fixed and proportional costs of external financing」が挙げられる。この論文では、キャッシュフローという状態変数(確率過程)だけでなく、そこから蓄積されるキャッシュリザーブという状態変数も内生的にモデル化した。これにより、外部資金調達費用が投資タイミングに与える影響を解明することができた。特に、資金調達額に比例した調達コストだけを考慮する場合、キャッシュリザーブが増えるにつれて投資タイミングが単調に早まることを示し、調達額に依存しない固定コストも考慮する場合、キャッシュリザーブと投資タイミングの関係が非単調になることを示した。この結果とメカニズムにより、キャッシュリザーブと投資の関係に関する実証結果を整合的に説明できるようになった。さらに、この論文では、経済的インプリケーションを導出しただけでなく、多次元モデルの解析手法も発展させることができた。 これ以外にも、多数の研究プロジェクトを新たに行い、国内外の多数の学会で発表し、論文にまとめ、国際査読付ジャーナルに投稿した。また、22年度に執筆した論文についても、学会参加者や査読者のコメント等を考慮して、修正と改訂を続けた。結果として、いくつかの論文が、査読付ジャーナルに掲載された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
いくつかの論文は、既に、国際的に著名な査読付ジャーナルに掲載されたが,まだ審査結果がでていない査読中の論文も多数あるため。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究プログラムの1,2年目に執筆した論文で、まだ査読中の論文が多数あるので、査読者のコメント等を参考に、修正と改訂を重ね、査読付国際ジャーナルに掲載されるようにしていく。さらに、例年通り、年3編以上のペースで、新たな論文の執筆と投稿を続ける。
|