当該年度では以下の成果をあげた。 (1) 最適配当問題(optimal dividend problem)のデュアルモデル(dual model)において、モデルするレヴィー過程のレヴィー測度にかかわらず、尺度関数(scale function)を利用し最適解が得られることを証明した。また、その派生問題として、固定された取引費用を導入し、同様にして尺度関数を使い解を求めた。従来のモデルでは指数分布の複合ポワソン型のジャンプを仮定しており、本研究では大きく一般化に成功したことになる。 (2) 在庫管理問題(inventory control)において、任意のspectrally negativeレヴィー過程について、最適解を求めた。これまでの研究では下向きジャンプの複合ポワソン過程とブラウン運動について解くことが一般的であった。これに対し、本研究では一般のspectrally negativeなレヴィー過程についても解けることが示された。また、解は尺度関数を用いて簡潔に表現することができ、数値的にも意義のあることが示された。 (3) 複数回停止可能な最適停止問題について、spectrally negativeなレヴィー過程の場合に、ある条件化では最適停止時刻が到達時刻(hitting time)の集合となることを証明した。さらに、最適解が尺度関数で表現できることを示した。
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