研究概要 |
本研究では,専門家・熟練者の知識に含まれる曖昧さ(ファジィ)と顧客需要などの確率的不確実性とが同時に存在する環境下において,配送時間や平均稼動効率など複数の目的を考慮した配送計画モデルを提案する.荷主と運送会社はコストや時間などの複数の目的をもっており,荷主と運送会社の間には階層構造が存在するが,お互いに協力関係にある場合もしばしば存在する.本研究では,そのような協力関係下において荷主と運送会社の間の目的達成度に関する満足度バランスを考慮した適切な配送拠点と配送ルートを高速かつ高精度に導出する解法を開発するとともに,曖昧性や不確実性の度合いの大小が解に及ぼす影響について明らかにすることを目的とする. 本年度での成果として,まず顧客需要や配送時間などをファジィランダム変数で表されるものと仮定し,上位レベル意思決定者の荷主の目的は配送費用を含めた物流コスト,下位レベルの運送会社は配送時間,総配車台数,平均稼動効率などの複数個の目的をもつものとして,ファジィランダム変数を含む2レベル多目的配送計画問題を定式化した.次に,「ファジィ目標が達成されると期待できる可能性の最大化(期待可能性最大化)」を最適基準としてモデル化し,確率測度や可能性測度の性質を用いて問題を等価な確定問題に変換した.また,荷主と運送会社の2レベル間のおける配送拠点,配送ルート等に関する満足解を定義し,最適解が満足解の候補となるような数理計画問題を導出した,さらに,荷主の最小満足度を設定した上で,運送会社との満足度の比を対話により更新しながら最終的に両者の満足解を導出するアルゴリズムの構築を行った.
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