本年度の研究では,本研究プロジェクトを総括し,リスクを勘案した企業の財務指標計測モデルを構築した.具体的な研究業績は,学術論文5編,学会発表8回 (海外6回,国内2回)に集約される.学術論文では,Shibata and Tian (2012)において,企業が銀行よりも情報優位となると仮定し,その情報の非対称が負債のクレジットスプレッドにどのような影響を及ぼすかについてのメカニズムを明らかにした.Shibata and Nishihara (2012)では,企業経営者が所有者よりも情報優位となると仮定し,経営者による投資戦略(タイミング)に関するメカニズムを明らかにした.Shibata and Nishihara (2012)では,負債債権者が企業に融資する際に資金制約を課す場合,その発行額制約が企業の投資戦略や株式価値に及ぼす影響について分析した.Ko and Shibata (2012)において,市場に非対称な企業が3社存在すると仮定した上で,戦略的相互的依存関係を考慮に入れた各企業の投資戦略を考察し,その戦略を考慮した上での投資プロジェクト価値の評価式を導出した.Nishihara and Shibata (2013)では,企業が投資を行う際,企業が内部資金の制約に直面する場合における投資戦略についてのメカニズムを明らかにした.学会発表では,シドニー,ブリスベーン,ジェノア,トロント,香港などで開催された国際学会にて,企業の財務指標計測モデルについての報告を行った.
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