研究概要 |
本研究では,設備保守・点検作業における熟練技術の伝承を支援するために,各計測手法およびシステムを開発することを目的としている。平成22年度は,作業時の力加減および身体動作を明らかにするために,以下のことを実施した。 (1)熟練者の作業時の力加減の習得を支援することを目的として,作業内容(視聴覚データおよび力覚データ)を計測し,記録された力覚データ(折れ線図)と作業動画を同期させて作業訓練者に教示することのできるシステムを開発した。機械加工企業での設備の保守点検作業(プレス用金型の研磨作業)を対象として,本装置で熟練者作業内容を用いて非熟練者の作業訓練を行った場合と従来の訓練方法(熟練者からの直接指導)を行った場合での技能の習得効果について明らかにするために,合計7名の被験者で実験を行った。これらの実験結果については,平成22年度日本経営会秋季研究大会で発表した。 (2)熟練者の作業時の身体動作を明らかにするために,作業者の身体部位に取り付けたLEDマーカーを複数のCCDカメラから取り込み,画像処理することにより,作業者の身体部位の3次元位置および回転角度を求め,動作を分析する装置を開発した。開発した装置を用いて,金属加工企業の溶接作業を対象として,経験年数の異なる作業者6名の作業計測を行った。平成23年度以降は,これらの計測結果を分析し,研究成果としてまとめ,公表する予定である。
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