研究概要 |
本研究は,エアラインの時刻表をもとに,時間の概念を取り入れた航空ネットワーク(以後,時空間ネットワークと呼ぶ)を構築し,空港を単位として現状の航空機の動きの時空間的な分析と,オペレーションズ・リサーチの分野で一般に用いられているグラフネットワーク分析手法を援用した,時空間ネットワークの空間的構造および数理的特徴を分析することを目的としている.また,地理情報と社会・統計データをもとに全世界を対象とした都市圏間の旅客数を推計するモデルを開発し,航空機の運航パターンが変化した場合の影響を分析するツールを開発することも目指している. 初年度の平成22年度は 1.航空機の時空間ネットワークを構築 2.現状の航空機の運航を時空間的に分析を行った. まず,OAG(Official Airline Guide)の航空時刻表をもとに,それぞれの航空便に対して,出発空港と到着空港をノード(空港の位置(経緯度)は地理情報データをもとに別途取得),それらを結んだリンクからなるネットワークを構築した.次に,ノードに時間軸を持たせ,空間的には一つの空港を時刻別に分割し,空港での待ち合わせリンクなどを適宜追加することによって,時空間ネットワークに拡張した.このとき,各リンクには所要時間に加えて,運航会社,運航機材等の属性データも持たせた. さらに,構築した時空間ネットワーク上で最短経路探索問題を解くことで,乗り継ぎ時の待ち時間も含めた最短所要時間が出発時刻によってどのように変化するのか等の,時空間的な分析を行った. 時空間ネットワークは,次年度以降に実施予定の「都市圏間航空旅客数推計モデルの開発」においても活用する.
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