研究概要 |
本研究は、1.エアラインの時刻表をもとに、時間の概念を取り入れた航空ネットワーク(以後、時空間ネットワークと呼ぶ)を構築し、2.空港を単位として現状の航空機の動きを時空間的に分析する。また、3.オペレーションズ・リサーチの分野で一般に用いられているグラフネットワーク分析手法を援用して、時空間ネットワークの空間的構造および数理的特徴も分析する。次に、4.地理情報と社会・統計データをもとに都市圏間の旅客数を推計するモデルを開発する。そして、5.全世界を対象として都市圏間OD旅客数を推計するとともに、6.航空機の運航パターンが変化した場合の影響を分析するツールを開発する、という6つのフェーズから構成されている。 これまでの2年間で1, 2, 3, 6を実施したので、本年度は4ならびに5を実施した。 まず、国際民間航空機関(ICAO)が提供しているOFOD統計およびTFS統計を入力として、国間のOD旅客数を推計する数理計画モデルを作成した。都市圏間ではなく国間としたのは、統計データの精度(信頼性)に問題があったためである。この問題を解決するために、既に構築していた時空間ネットワークの情報と年間のGDPデータを活用して統計データを補正するとともに、国間OD旅客を都市圏の人口に応じて都市圏間OD旅客に配分することとした。都市圏間に配分する際、出発国の国内路線および目的国の国内路線を考慮することで、乗継客の移動を表現することを可能とした。 そして、世界の代表的な10の国を対象として、都市圏間OD旅客数を推計した。
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