平成23年度までに、住宅・土地統計調査の個票データを用いて、耐震診断や耐震改修工事と住宅、世帯、地域の関係性の分析を進めた。分析作業については、総務省統計研修所リサーチペーパー第28号として「住宅・土地統計調査から見る住宅耐震化の趨勢」をとりまとめた。 平成24年度は、これまでの成果に調整を加えて、学術論文を執筆して、日本建築学会計画系論文集へ投稿し、審査結果を踏まえて修正作業を行い、平成25年6月号への掲載が決定した(先に記したRPと同じ主題として、副題を「新規住宅供給が耐震化率へ与える影響と耐震改修工事の政策的意義」とした)。 また、総務省統計研修所との共同研究を継続し、引き続き統計分析作業を進めた。具体的には、住宅・土地統計調査を用いて、住宅所有形態について作業を加えた。また、住宅についても扱いがある全国消費実態調査の個票データも利用し、家計と住宅状況の関係分析も行なった。住宅・土地統計調査を用いた分析結果については、「1980年代後半から2000年代後半にかけての我が国の住宅保障に関する統計資料(1)」として総務省統計研修所へリサーチペーパー原稿を提出した。全国消費実態調査を用いた分析結果については、平成25年3月に提供されたデータに誤りが含まれていたことが判明し、差し替える必要が発生したため、今後データを差し替えてリサーチペーパーとする予定である。 関係して、岩手県釜石市および福島県双葉地方の避難者や住宅ローンに関する社会調査のミクロデータを用いた分析作業も進めた。 それらの分析作業を進めながら、住宅防災・復興政策について検討を行ない、「複眼的な政策分析に基づく居住環境リスクに対する住宅保障政策の検討」という研究が必要であるとの視点を獲得し、新たに3か年の研究計画を作成し、基盤研究(C)へと応募し、平成25~27年度の研究として採択されるに至った。
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