研究概要 |
本年度は,前年度までの調査結果を参考に,高等教育機関における安全態度に関する質問紙調査を作成するとともに,理系学部及び文系学部を含む学生(データ対象は105名)に対して討議発表を含めた安全教育プログラムを検討し実施した. 安全教育プログラムについては,参加者の危険感受性を高めることを目的として,高等教育機関等の事故発生状況と人間の不安全行動の発生メカニズムをそれぞれ2回(合計約180分間)に分けて講義を行った後に,参加者各人に対して実験研究場面ならびに日常生活場面においてエラーを定量化するダイアリー(第1期・期間は1週間)の作成を依頼して,各グループ内でそれらの具体的な結果の共有と討議発表(約90分間)を実施するものであった.また,その後あらためて同様のダイアリー(第2期・期間は1週間)の作成を依頼することで,ダイアリー(第1期)の結果の共有及び討議発表が,各自の行動(ヒヤリ・ハット及びエラーの発生率とそれらの認知)にどのような影響を及ぼすかを定量的に分析するためのデータ収集を行った.さらに,安全教育プログラム全体の効果測定を実施するため,高等教育研究機関における安全態度に関する質問紙調査を前後に実施し,データ収集を行ったところである. 当該の質問紙調査については,別途,教員と技術職員を含む大学の構成員124名に対して試行的に実施しており,学生自身が安全確保に対して,現状よりもさらに積極的に行うべきであるという向答の傾向を得た.よって学生から同様の項目から得られる結果について,今後比較を行い,背景要因についてに吟味し,最終年度においても実施する安全教育プログラムの改善に資するものとする.
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の推進するにあたり,平成23年度計画において実施された安全教育プログラムにおいて収集されたデータを迅速に分析するために,研究経費の一部をデータ分析に係る謝金として執行するように努める.データ分析については,担当者に詳細の手順を説明することを実施スケジュールに含めることとする.また、平成23年度に学生に対する安全教育プログラムを実施しているが,得られた知見を反映しながら平成24年度においても修正したプログラムを実施検討することで,高等教育機関における安全教育の体系化に努めることとする.
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