平成24年度は、グループホームを題材に今後の防火対策のあり方を検討した。政策提言にあたっては、建築専門家、消防官、福祉事業者からのヒアリングが有効であった。 グループホームの法的な位置づけについて、消防法―建築基準法―社会福祉法それぞれ異なった位置づけがなされている。具体的には、社会福祉法では「住居」として位置づけられているのに対し、消防法では防火対象物(福祉施設 6項(ロ)or(ハ))、建築基準法では特殊建築物(寄宿舎or共同住宅or児童福祉施設)として位置づけられている。防火対象物・特殊建築物と位置づけられると強力な規制がかけられ、規制を満たすために費用の負担がかかってしまう。 福祉政策としては、中古住宅をグループホームに転嫁し活用をしていこうという動きがあるのにもかかわらず、防火政策がそういった動きを阻害する実態が明らかとなった。まさに、施設福祉から地域福祉(=中古住宅の活用)へという福祉政策と防火政策との齟齬が生じてしまっている。 このような問題に対する解決策として以下のような案が提言された。 ①「住宅」そのものの安全性を高めるべきであって、そうすることでグループホームにすることで特段規制が強化されなくなり、中古住宅の活用が促進される。また、規制逃れによる火災リスクの増大も防止できる。②規制を行うにしても、建物のハード面だけに注目するのではなく、どれだけ迅速に避難ができるかというソフト面にも着目をして、規制を柔軟に行う。③消防法―建築基準法―社会福祉法の3つの法規制が複雑に絡み合う中で、福祉―消防―建築部門が協議をしてベストな規制を総合的に検討をする仕組みを設ける。今後は、規制のコーディネートを行う組織・専門家を養成する。
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