研究概要 |
平成17年から転倒は労働災害のワーストワンとなり,平成20年までの4年間も同様の結果となっている。このような中,50歳以上の高年齢労働者が増加しており,同時に転倒事故が増加しており,その対策は急務になっている。転倒リスクに関する研究は多方面から進められているが,現場での対策立案のもとになる詳細な被災状況,例えば,どの方向に転倒した?,踵を引っかけた?,つまずいた?,尻もち?,膝打ち?等の転倒パタンの報告は皆無であるため,発生状況を反映しない転倒リスクで予防策に結び付けざるを得ないのが実情である。そこで本研究は,転倒災害の発生状況を反映した予防策が提案できるようにするために,転倒した.しそうになった時の身体挙動にもとづいて転倒パタンを的確に類型化する手法の考案を目的とした。方法としては,床面と同一平面上のマットに異なる方向,滑り,踵の引っかけ,つまずき,尻もち,膝打ち等の転倒について若年男性を被験者として模擬的に再現し,3軸加速度センサー等を用いて様々な転倒がもたらす特徴的な身体挙動をもとに類型化を検討した。なお,新たに宅配業・ビルメンテナンス業からの協力を得ることができることになったため,前述事業者の安全担当者と議論を重ね,現場レベルで記入することで類型可能なチェックシートを作成した。現在は実験・チェックシート共にデータ収集に努めている。これまでの成果は日本産業衛生学会関東地方会第251回例会にて発表した。
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