研究概要 |
新規ダニアレルギーワクチンの開発を目的として、コナヒョウヒダニ(D.farinae)の完全長cDNAライブラリのうち、既に塩基配列決定済みの11,520クローンを基に、新規ダニ抗原候補分子のスクリーニングを行った。平成22年度の研究成果により選択された20の既知抗原クローン群(Group D)および20の新規抗原候補クローン群(Group HA)を個々に、真核細胞用発現プロモーターCEを有するベクター(pCE-FL4)に組換えた。 一方で、抗原感作によるマウス気管支喘息を惹起する実験手技および解析技術を習得し、宿主の糖鎖修飾がアレルギー応答に与える影響を解析した(Allergol.Int.2011,60 345-354)。同時に、宿主の糖鎖修飾がアレルギーとは対照的な免疫系を惹起するマラリア感染症に与える影響も解析した(Exp.Parasitol. 129(3)318-321)。また、近年アレルギーにおける役割が注目されてきているTh17細胞が産生するIL-17が、B細胞クラススイッチに与える影響を解析した(Cytokine 2012,掲載決定)。これらの解析結果を踏まえ、チャレンジ感作用ダニ粗抗原の調製をおこない、それを用いてダニ抗原によるマウス喘息誘導モデルを独自に確立した。 以上の研究成果により、ダニアレルギーモデルマウスの系で、Group D,Group HAのワクチン効果の評価を、DNAワクチンの手法で開始する準備が整った。現在、Group D,Group HA,およびコントロールの空ベクター(pCE-FL4)を、GeneGunを用いてマウスに免疫し、ダニ粗抗原によるチャレンジ感作を開始したところである。感作終了後、ワクチンによるアレルギー制御効果を解析する予定である(5月中旬~下旬の予定)。
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