研究課題
本研究は、植物が生産する多様な生理活性物質プレニル化クマリンの生合成機構の全容解明を目指しており、その第一段階として組織特異的に蓄積するプレニル化クマリンの生合成に着目して、この生合成酵素の単離、機能解析を行った。クマリンを高生産すると報告されている柑橘類において、プレニル化クマリンの組織別蓄積量を解析した結果、ユズ、カボス、レモン、グレープフルーツ、ライムいずれの場合も外果皮特異的にプレニル化化合物の蓄積が確認された。さらに、レモン外果皮より調製した膜画分において、クマリン類を基質とするO-並びにC-プレニル化活性を検出し、プレニル化クマリン類の蓄積部位とその生合成部位が一致することを明らかにした。プレニル基質特異性については、ゲラニルジリン酸のみが基質として認識され、最も活性の高かった芳香族基質ベルガプトールに対する5-O-研ゲラニル活性のK_m値は140μMであること、また広い二価カチオン要求性を示すことがわかった。一方で、既知の芳香族基質プレニル基転移酵素の遺伝子配列情報をもとに縮重プライマー及びRCAE-PCRによるクローニングを行い、ミカン科から4種類、セリ科から2種類のクマリン基質プレニル基転移酵素をコードすると予想される完全長cDNAを単離することに成功した。レモン並びにパセリ由来のプレニル基転移酵素において、タバコを宿主とした一過的発現系により調製した粗酵素液でクマリンを基質としたプレニル化活性を検出している。なお、以上の成果は原著論文1報、学会発表5演題として報告している。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
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