研究課題
本年度、当初の目的である分離用樹脂の合成に成功した。また、リガンド低親和性タンパク質の光反応性基による Catch と、ジスルフィドリンカーの開裂による Release に成功した。バッチ法と光照射の組み合わせという非常に簡便な実験操作で当初の目標を達成することができた。同時に、有機合成用樹脂は非特異的吸着が少なく、アフィニティ精製の優れたツールであることを確認することが出来た。1.分離用樹脂の合成昨年度までの合成研究で、樹脂にリガンドを導入する際にジスルフィドリンカーが開裂する問題点があった。本年度、ジスルフィドリンカーの開裂機構を解明し、リンカーのアルキル鎖を長くすることで、開裂を抑制することに成功した。2.分離用樹脂の機能評価合成した分離用樹脂にマンノースを固定し、結合タンパク質である Concanavalin A (Con A)の捕捉・回収を検討した。マンノース単糖とCon Aの解離定数は Kd = 10-4 M 程度であり、その相互作用は非常に弱いことが知られている。マンノース結合分離用樹脂と蛍光標識化Con A (FITC-Con A) を混合し、光照射後・還元剤処理後の樹脂を蛍光顕微鏡で観察した。その結果、光照射後の樹脂には強い蛍光が観察され、還元剤処理後にはその蛍光が弱くなっていることが分かった。この結果は、分離用樹脂が光照射によりFITC-Con Aを捕捉し、還元剤処理により放出したことを示す。また、樹脂上のマンノースとFITC-Con Aの相互作用は遊離のマンノースの添加により阻害されることも確認された。以上の実験から、今回合成した分離用樹脂は、リガンド低親和性タンパク質を特異的に捕捉できたと言える。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
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