研究課題/領域番号 |
22710227
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研究機関 | 公益財団法人微生物化学研究会 |
研究代表者 |
中栄 功一 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所・生物活性研究部, 研究員 (20390776)
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キーワード | ケミカルバイオロジー |
研究概要 |
生理活性低分子化合物の標的分子同定研究における新規手法開発を目的とし、当該年度は新規生理活性低分子化合物の調製、既知化合物の検出用官能基付加、光反応性アミノ酸の生細胞への取り込み条件検討、光クロスリンク条件の検討及び、精製ビーズを用いた標的タンパク質の単離を行い、各ステップの諸条件を最適化することにより本手法の開発を目指した。 具体的には、生理活性脂質であるプロスタグランジンの細胞からの放出を阻害する化合物として申請者らが微生物二次代謝産物より見出した新規生理活性低化合物サッカスリジンAの単離精製、標的タンパク質既知低分子化合物FK506のビオチン化誘導体の調製を行った。光クロスリンクについては、光反応性アミノ酸としてジアジリン基が導入されているメチオニン、ロイシンをそれぞれまたは同時にヒト滑膜肉腫細胞SW982細胞に処理し16時間取り込ませ、光照射(365nm)後、細胞を溶解し電気泳動後にHSP90の検出を行った。その結果、光反応性メチオニンを取り込ませた条件下において光クロスリンクによりHSP90複合体の検出が可能であることを明らかとした。更に検出用タグを導入した低分子化合物、ビオチン化プロンコジンA、ビオチン化マイグラスタチン、またコントロール化合物としてビオチン化ゲルダナマイシン、ビオチン化FK506を用い、それぞれ結合している標的タンパク質をストレプトアビジンアガロースビーズまたは磁気ビーズを利用することで単離を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では天然より得られる生理活性低分子化合物に検出用官能基を付加し、プローブ化している。プローブ化する生理活性低分子化合物を複数調製することは、結果的により標的タンパク質同定法開発の成功率を高めると考えたが、天然より得られる生理活性低分子化合物はそれぞれ調製法が異なることもあり、研究計画からは若干遅れることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
各実験の諸条件最適化を更に進め、調製したビオチン化生理活性低分子化合物を用いて標的蛋白質の同定を行う。具体的にはビオチン化生理活性物質、ビオチン化プロンコジンA、ビオチン化マイグラスタチン、また標的既知生理活性低分子化合物としてビオチン化ゲルダナマイシン及び、ビオチン化FK506をプローブとして用いる。また標的既知低分子化合物を用いた標的蛋白質検出についてはELISA等によりシグナルの定量化を行い、検出感度の測定を行う。
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