ケニア西部ビクトリア湖岸に拡がる灌漑稲作地域における稲作の実態を地域研究の手法を用いて探り、稲作と稲作農民の生活における問題点を抽出し、それに対して適切な解決策を検討し、その解決のための支援を住民主体を巻き込んで行う、住民主体の稲作支援の在り方と探るための研究を行っている。対象とする灌漑稲作地域の中には、1970年代にケニアの政府機関であるNIB(National Irrigation Borad)によって灌漑施設が建設され、灌漑稲作が導入された地域と、その外に拡がる会う頭ローワーと呼ばれる地域があることは分かった。アウトグローワーの村は現在NIBの灌漑稲作地域周辺に合計6カ所確認できた。アウトグローワーの村での稲作の開始時期はNIBが稲作を導入した時期よりも早く、20世紀初頭であることが分かってきた。その当時は、灌漑施設が整わない環境での稲作が行われていたものと考えられる。 GISを専門とする研究協力者により、1970年代から2010年までの衛星画像の解析を行い、地域内で、水田がどのように展開していったのかを現在分析中である。また、NIBの灌漑稲作地域では、地域内の水は大型のポンプを使って技術者が管理しているので、地域内に12あるブロックにすべて行き渡るように水利カレンダーが組まれているが、アウトグローワーの稲作地域では、灌漑施設は自分たちでメンテナンスしているため、水のコントロールが難しく、潅水の被害や水不足の被害に見舞われることもあり、収穫が失敗に終わる年もあるという。 また、米の市場の調査の結果、他の地域の米の値段と比べて、この地域の米の値段は低いことが分かった。その原因は、米が割れていたり、濁っているためであった。この点を改善するための方法実践として試行していくことを現在計画中である。
|