2008 年より 10 年間日本政府主導でアフリカの稲作に対する支援が行われている。対象地であるケニア西部ビクトリア湖岸地域には 1970 年代に NationalIrrigation Board(NIB)と呼ばれるケニアの政府機関により大規模な灌漑施設が建設され、灌漑稲作が導入された地域がある。調査開始後、アウトグローワーと呼ばれる農民自らが水利を管理する稲作地域が少なくとも6ヵ所以上あることが分かった。2 年間の間に複数回における予備調査の後、これらの地域の稲作農家 400 世帯に対してベースライン調査を行ったところ、NIB の管轄下のコメ生産は世帯当たり及び単位面積当たりでもアウトグローワーの稲作農家と比較して高いことが分かった。一方、調査をした 4 カ所のアウトグローワーの間でもイネの生産性や収益性に大きな差があり、最も収益の低いアウトグローワーでは調査年に 4 割の農家が稲作で利益を上げられていなかったことが分かった。
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