この研究は、現代アフリカにいきる人びとが実践している「ものをつくり・つかう方法(=技術)」を優れて創造的な営みととらえ、それを「技術文化複合(ものをつくり、つかうための自然環境や社会的な環境との関わりとそれに関わる信念や価値観まで含めた複合体)」として検討したうえで、当該社会における「技術文化複合」の全体像と特質をあきらかにし、現代アフリ社会の多様な発展のあり方と同時にその内発的な発展の可能性を探求することを目指す。この研究では、以下の3点に留意して研究をすすめた。 (1)創造的実践知としてのものつくりの実態把握 (2)「技術文化複合」としてのアフリカのものつくりを検討 (3)内発的発展の契機としての「技術文化複合」についての検討 平成24年度は、昨年度に引き続き、創造的実践や内発的発展の契機に関わることを念頭におきつつ現地調査をおこなうとともに、現地の人びととともに植物繊維や染織に関わるワークショップをおこなった。年度の前半に公開講座などを介して社会に還元する活動に従事した。年度後半は、国際学会において、女性土器職人たちの技術的な革新の根幹を担う技術の習得について発表した。口頭での発表に加えて、これまでの現地調査の成果を次にのべる3点に着目して論じた論文を公表した。①職人が市場での社会関係を契機にして土器つくりに関わる技術的な革新を発揮する点を、土器つくりの創造性と位置づけて議論した論文を雑誌『物質文化』上で発表した。②身体と環境との微細な関わりに着目して技法の革新を論じた論文を雑誌『文化人類学』上で発表。③土器の焼成方法の手順と女性職人たちの語りを分析して焼成方法の多様性と創造性について英文雑誌上で発表した。さらに、上記の論文に加えて、平成23年度末におこなった国際フォーラムおよびそのフォーラム内でおこなったポスターセッションの成果を論文集として発表した。
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