研究課題/領域番号 |
22710248
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
渡辺 一生 京都大学, 東南アジア研究所, 研究員 (30533012)
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キーワード | 東南アジア / 東北タイ / 天水田 / 水稲生産 |
研究概要 |
平成23年度には、タイ全土が洪水に見舞われ、研究対象地域においても米の収穫ができない農家が多かった。そのため、当初予定していた水稲生産量調査が実施できなかった。次年度への予算繰越ができたことにより、平成24年度においては無事に生産量調査を行うことができ、有意義な調査データを取得できた。 本調査の目的は、対象地域における水稲生産の経年変化を世帯レベルで明らかにし、本研究課題である稲作継続メカニズムの解明に必要なデータを収集することであった。具体的には、東北部の1つの天水田集落の村人全世帯の水田耕作位置、収量、生産品種、収穫時期について聞き取りを実施し、その情報をこれまでに構築したGISデータベースへ追加した。このデータベースには、既に1978年からほぼ毎年の同様な調査データが蓄積されており、長期に渡る水稲生産の実態とその変動を追うことができる。このような長期間のデータの蓄積の実績は、世界でも希有であり、東南アジアの水田農村における動態研究を進めるにあたり大変貴重な資料である。 近年、同地域では、灌漑施設の整備や農業機械、新しい品種の導入によって、これまであまり行われてこなかった乾期作が急速に広まりつつある。農家世帯の収入ベースにおける米作の割合は一割にも満たないにも関わらず、現在に至るまで活発に水稲生産活動を展開している同地域の論理を理解するには、これまで対象としてこなかった乾期作の実態にも迫る必要があり、今後は年に複数回の水稲生産量調査を実施したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予算の繰越を行ったことで、研究計画書で予定していた調査を実施することができ、解析に必要なデータを順調に取得できている。
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今後の研究の推進方策 |
これまで収集したデータについては、GISデータベースへの入力作業を進めて行く。同時に、入力済みのデータを用いた分析も行い、その成果については学会発表などで公開する。
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