最終年度である平成24年度においては、研究対象地域で行われてきた過去20年以上にわたる集落定点調査の調査情報のGISデータベースの完成と、農民の水稲生産における意識調査および世帯ヒストリー、雨期及び乾期における各世帯の水稲生産量調査を実施すると共に、これまで得られた研究成果の発表を主に海外を中心として行った。 本研究の目的の一つである、過去20年以上にわたって蓄積されてきた農学および社会科学的調査情報のデータベース化については、1978年から毎年実施している世帯単位の水稲生産量調査結果の入力が完了し、加えて、1983年及び2002年に行われた悉皆調査結果についても入力が完了した。また、農民へのインタビューについては、合計120世帯程度の聞き取りを実施し、のべ500人以上の村人の移動や米収支の動態を捉えることができるようになった。 これらのデータベースは、全てGISによって統合を図り、INFODD(Integrated Field Observation Database in Don Daeng Village)と呼ばれる統合型GISデータベースを構築した。このデータベース構築によって、タイの高度経済成長前後の同地域における社会、経済、農業環境の変化を詳細に捉えることが可能となった。 本年度は、研究成果の国際的発信へも注力し、アメリカ、ドイツ、オランダ、中国において研究発表を行った。
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